都城から宮崎市内への帰途の途中、道の駅山之口で“甘乳蘇(かんにゅうそ)ソフトクリーム”を購入しました。
甘乳蘇は、牛の生乳をとろ火で長時間煮詰めて固形にしたものをいいます。奈良・平安時代に同じ製法で作った「蘇」という食品があるそうで、美容健康食として貴族のあいだで珍重されていたそうです。
同じ製法のものが江戸時代には「酪」といわれ、この「酪」を好んだのが、江戸幕府第十一代将軍・徳川家斉。ご存じの方はご存じの精力ナンバー1の将軍さま。16人の妻妾を持ち、55人の子宝に恵まれました。すごいですね~(^_^;)
この甘乳蘇ソフトクリームは、味は濃厚ですがさっぱりした味。甘みがしつこくありません。宮崎でこの付近を通ったときは、このソフトクリームを食すのが、我が家では定番になっています。あいかわらずの美味しさでした。うまうま。
東京の新宿にある“新宿みやざきKONNE館”でも購入できますので、もしお近くにお立ち寄りの際は、お試しください。
通常市販されている牛乳と違って、生乳は均質化(脂肪球を細かく砕く)処理などを行なっていないため、置いておくと自然にクリームが表面に浮いきます。ですので、一定の品質に加工しにくいのではないかと思っていましたが、調べたところ8時間つきっきりで目を離さず加熱していくのだそうです。
その日の温度や湿度、天気にも左右されるそうですが、生乳だけに季節によっても成分が変わっているそうです。冬は濃く、夏は少々薄くなるとか。
写真は、最近読んだ本「カソウケンへようこそ(内田麻理香著)」です。家事を科学した本で、なぜ油を予めフライパンに引くのか、といったことを科学的に述べられています。
この本では、母乳についてのページもあって、赤ちゃんが飲み始めの母乳は、「低脂肪でスキムミルクのような母乳。しかも、酸性度が少し高くてさっぱりした味なのでしょう」、そこから飲み続けていくと徐々に脂肪分が増えていき、「最終的にはクリームにも相当するような高脂肪乳になります」といったことが書いてあります。
ということは、たった一回の授乳でも成分に変化が相当あるということです。甘乳蘇の8時間つきっきりの製造方法というのは、本当なのだな~と思う次第です。最初はちょっと信じられなかったのですが。
なぜ、母乳がさっぱり味からこってり味に変化していくのか?という疑問を持たれた方もいらっしゃると思いますが、赤ちゃんがちょっと喉が乾いたときは、さっぱり味の母乳を少し飲んで喉を潤し、食欲を満たしたいときは、こってりクリームの母乳がでてくるまで飲み続けていくようになっているそうです。
母乳というのは、まるでソフトドリンクからコース料理まで対応したカフェのようです。赤ちゃんが毎日よくもまあ飽きもせず飲み続けられるのも分かりますネ!(ということも本に書いてありますm(_ _)m)。