店頭で販売しているお菓子が充実してきました。かなり人気です。
昔懐かしい感じですが、決してジャンクには陥らず、一袋324円~540円くらいまでの価格帯のものを取り揃えております。
子供や若いご夫婦には、あまり興味を持って頂けないのですが、還暦以上くらいの年齢のお客さまには、すこぶる評判が良く、繰り返し繰り返し購入して頂いております。
「あまり食べ過ぎないようにしてくださいね!」と、お買い上げ頂いたあとに伝えているのですが、どうも売り文句で煽っているようになってしまい、笑いながらもう一袋選んで購入されるお客さまもチラホラ。
売ってるのに「買うな」と言われると、つい買っちゃいますね。確かに。
ちょっと逆効果だな、と思いつつも、そう言わざるを得ないくらいに頻繁に購入される方が多いです。
特に人気なのは、この「お好みせんべい」です。見たとおりの素朴具合。
初めての商品を仕入れるときは、裏面の原材料表示を見て、大体の味を想像してから、仕入れるかどうかを決めます。試食できればいいのですが、できないこともしばしばなのです。
このせんべいの原材料表示を初めて見た時の感想は、「うわぁ、これはやばいな」でした。営業の方は「これが一番売れているんですよ!」と説明してましたが、「だろうなぁ。。」という感じでした。
この表示を見て、このせんべいのヤバさが、分かりますか?
ヒントは、4種類のせんべいが入っていて、それぞれ焼き色が違うことです。
1
2
3
はい、それでは理由を書きますね。それは、せんべいに使用している糖分が、3種類あることです。砂糖、ブドウ糖、オリゴ糖、この3種。
せんべいなので、小麦粉がベースなのですが、せんべいの種類に合わせて、使用している糖分がおそらく違います。「糖分」と一言でいいますが、種類によって、味の感じ方、甘さの重さ、後味の引き方が違うのです。
「砂糖」は重めの甘さと言われているのに対し、「ブドウ糖」は、サラッとしていると言われます。「オリゴ糖」はほんのり控えめです。
せんべいの製造メーカーさんは、こういった甘さの違いをかなり分かったうえで、この詰め合わせのパッケージにしていますね。おそらく。重たいせんべいを食べたあとは、軽めのせんべいを食べ、そのあとピーナッツの入ったものを食べ、と飽きることがありません。
これはうっかりすると、ついつい食べ過ぎてしまいます。ある意味、悪魔的なほどの賢さを感じる製品です(と、回し食べをしながら考えていました)。
ヒントで出した「焼き色」は、小麦粉と各種糖分の組み合わせで、焼き色に差が出るからです。
小麦粉や鶏卵のタンパク質(アミノ化合物)と、糖分や小麦粉の糖類(カルボニル化合物)が熱で化合することを「メイラード反応」というのですが、このときにさまざまな風味と味が引き出されます。そして材料によって、ずいぶんと味や匂い、焼き色に差がでるのです。
小麦粉だけでなく、例えば“焼きおにぎり”は、醤油のアミノ酸と、米の糖分で美味しい匂いがします。もともとの醤油ですら、発酵時のメイラード反応で独特の色と味になりますし、味噌もそうです。メイラード反応には、さまざまな種類があります。焼き肉だって、メイラード反応です。
せんべいの話しから、思わぬ話しになってしまいましたが、「ああ、これはやばいな」と思った理由が、ご理解頂けたでしょうか。素朴なナリをしていますが、それくらい深い商品だと思いました。
ただ、こういった味の違いに、ちゃんと反応できる年齢層が、ちょっと高めなのですよね~。いまどきの菓子類に比べると刺激が少なく、若い人から見ると、単なる素朴なお菓子にしか見えないと思います。スパイスに頼っていない、良いお菓子なのですが。。。
とりあえず、分かって頂ける方にオススメです!