産地訪問」カテゴリーアーカイブ

伊万里に行ってきました。深山夢しずくの郷。

佐賀県伊万里まで行ってきました。当店でも販売していた「深山(みやま)夢しずく」の産地です。現在のところ売り切れ完売状態。新米入荷待ちです。

昨日は「父の日」ということもあり、娘二人を連れて行きました。お父さんが独占状態です。父の日の思い出づくり。

まずは「伊万里ファミリーパーク」で娘たちを放流しました。

伊万里ファミリーパーク

おもしろ遊具が目白押し!

2015-06-21No(034)

さすがに日頃行く近所の公園とはテンションが違いました。

伊万里ファミリーパーク03

何往復目なんだろう。。。

伊万里ファミリーパーク04

ターザンロープもありました。

伊万里ファミリーパーク04

草スキー場もあります。ソリは無料貸出。ちなみに公園も駐車料金無料です。伊万里市民の皆様ありがとうございました。

次女とは一緒に7往復くらい滑りました。

伊万里ファミリーパーク05

中休みに、かき氷を食べました。幼児用の遊具、大人用のストレッチ器具も多く、くつろげるスペースも広々でした。すぐ近くには「日本の海水浴場88選」のイマリンビーチもあります。子供には面白スポット満載です。

産地撮影の予定もありましたので、当初の予定では1時間だけ遊ぶつもりでした。が、もちろん娘たちは承知せず、

結局なんと

3時間。

3時間!!!

 

3時間!!!!!!

まあしかし、ここに到着して遊具の充実ぶりを見た瞬間に、この展開は予期できましたので、穏やかに過ごしました。腹をくくると腹も立ちません。

それでも時間は過ぎ去ります。無情です。急いでコメリの前を左折して、黒川の深山夢しずく栽培地区に向かいました。

伊万里 深山地区

山の中の狭い農道を通っているときに、こういう立て看板があると非常に嬉しい。

棚田あり、滝があり、湧水があり、伊万里牛もいる様子。クワガタやカブトムシも。。これは夏休みにいいかも。。この日も夜まで待っていればホタルが見れるはずです。

深山夢しずく 棚田

さすがに絶景でした。奥にあるのは伊万里湾。

深山地区

お米屋さんはこういう写真で土の色を見ます。

深山地区 棚田02

圃場は狭く、栽培が大変そうでした。この棚田で傾斜が緩いほうで、そびえ立っているという形容がピッタリの棚田が多かったです。もちろん石造りの豪勢な棚田です。

深山地区 棚田03

牟田地区から見た風景。棚田が並んでいます。

深山地区 棚田04

さきほどの写真の右側の風景。パノラマで広がっていました。

この付近は、昔は松浦水軍の根拠地でした。急傾斜でかつ堅牢な棚田が幾重にも並ぶ姿に、当時の繁栄ぶりが偲ばれます。

しみじみと偲んだ後は、長女の宿題がまだ終わっていなかったため急いで家路へ。福岡の自宅まで1時間半でした。宿題も無事終了。

長崎県産・にこまるの産地に行ってきました。

※ 明日、27日(土曜)は諸用のため店休日となっております。ご迷惑をお掛け致しますが、よろしくお願い致します。

先日の日曜日、長崎県産・にこまるの産地まで行ってきました。場所は長崎県雲仙市です。

雲仙市吾妻の圃場
【長崎県雲仙市吾妻の圃場】

初めて雲仙までドライブしましたが、長崎は非常によい景色で、いっぺんに好きになりました。写真は、雲仙市吾妻の圃場です。有明海に面し、奥に見える山々は多良岳(だと思います・・・)。

大村 → 諫早 → 雲仙の順で、長崎を走ってきましたが、全体的に山が低く、空が広い印象でした。

傾斜地が多いため、写真のような圃場はあまりありません。そのためか色々な種類のお米が、隣の区画同士に栽培されていて、ちょっとした博覧会のようになっていました。

にこまる 慣行栽培
【にこまるの田んぼ 慣行栽培】

こちらは、「にこまる」の田んぼです。慣行栽培。慣行栽培というと聞きなれないでしょうが、普通に栽培しているお米です。減農薬とかじゃなく。

まだまだ色が青く、10月下旬ごろの刈り取り予定です。しかしながら、稲穂の手触りはしっかりしていました。

にこまる 慣行栽培

立ち姿も綺麗なもんです。穂が短いような気がしますが、日照不足だったせいかもしれません。長崎県産にこまるの稲穂をちゃんと見たのは、これが初めてですので、比較できませんが。。。

例年より少ない日光のため、稲穂を短くすることで、光合成で得たエネルギーを実(コメ)の充実に充てるという対策を、自然と稲穂がするということがあります。今回はそれかな、と。

もちろん、種子(コメ)の数は減るのですが、健康な子孫を残すためにわざと数を減らすのです。

にこまる 特別栽培米
【にこまる 特別栽培米】

こちらは、減農薬減化学肥料の特別栽培米のにこまるの圃場です。ボククラスの米屋になりますと、稲穂のぱっと見で、慣行栽培か減農薬か分かります。冗談です。

田んぼの区画ごとに、何を栽培しているのか札が掲示してあります。個人名が一緒に書いてありますので、ここでは掲載しませんが。

こちらも問題ないようでした。稲穂もしっかりしていました。

にこまる 特別栽培米
【にこまる 特別栽培米】

にこまるは、立ち姿が綺麗です。こちらは減農薬のほう。

飼料米
【飼料米】

最近、よく見るようになった飼料米も植わっていました。家畜の餌です。

減反の代わりに作付けをすることで補助金がもらえたはずですが、背が高く、茎が太く、葉も硬く、稲穂もズッシリとしています。

ただ、農家さんに言わせると、コンバインを傷める可能性があるそうです。茎などが硬すぎて。果たして補助金でペイするかどうか???

飼料米
【飼料米】

ワイルドな飼料米の稲穂。

他にも、ヒノヒカリやヒヨクモチなども栽培されていました。

長崎雲仙市愛野のじゃが畑
【長崎雲仙市愛野のじゃが畑】

吾妻町の隣の愛野町では、石積みのじゃがいも畑が広がっていました。綺麗な赤土です。非常に美味しいじゃがいもだそうで、名産になっています。

Google Mapsの衛生写真で田んぼと勘違いして、最初にこちらに向かってしまい、田んぼだと思っていたところが全部じゃが畑で途方に暮れました。その後、にこまるの田んぼのあるところは、親切な農家さんに教えて頂きました。

雲仙市千々石の棚田
【雲仙市の棚田風景】

雲仙には、日本の棚田百選に選ばれた“千々石の棚田”があり、ついでに見に行きました。長崎は傾斜地が多く、そのため棚田が多いと聞いていましたが、今回行ってみると一枚一枚の田んぼが小さく、高速の大村あたりの風景を目にしてから、目がウルウルしてしょうがなかったです。

田んぼが小さいと農作業が大変で、その苦労を偲んで、というわけでウルウルしていたわけでなく、そのあまりの可憐な風景に心惹かれました。まったく現代的な農業にそぐわない形を維持してきたという、歴史的な可憐さも含めてです。

上の写真でも感じて頂けると思うのですが、まるでジオラマの中にいるような緻密な風景。山々は低く、奥行きがあり、空は広く、まるで細心の注意を払って製作された箱庭の中にいるような感覚でした。

かなり撮影してきましたので、後日この模様はアップしたいと思います。いいです。雲仙。

田主丸の古賀さんの米を引き取りに行きました。

昨日は、田主丸の古賀さんの米を引き取りに行きました。

娘二人を連れて行ったので、まずは久留米の浦山公園で遊ばせます。

浦山公園

先週に引き続き2回目の訪問でした。しかしまあ、綺麗なママたちの多いこと。少々ビビリました。

自分が子供のころの親って、こんな感じではなかったですね。。。

中るラーメン 色紙

そのあと、久留米駅のすぐ近くのラーメン屋さんで遅い昼食。麺好き女優の西田尚美さんのサインが飾ってありました。

子どもたちは、1人1杯ずつ頼めば良かったと後悔するほどの食欲旺盛ぶり。チャーハンとご飯も頼んだのに、替え玉2回。あとで聞いたら、やっぱり美味しかったそうです。そうだよね~。おかげで、ボクはあまりラーメンを食べれませんでしたが。。。チャーハンもおいしかったですよ~。

古賀さんの圃場

お米を引き取りに来たので、当然のことながら、先日写真をアップした田んぼは稲刈り済み。「この田んぼのお米がこの米袋に入っているんだよ~」と言ったら、子どもたちが「え~っ!!」って面白がっていました。

さて、ここで重要なお知らせですが、まだお米の等級を決める農産物検査を受けていませんので、新米や品種の表示ができません。昨年もこの時期そうでしたが。。。未検査米として販売致しますので、よろしくお願い致します。

稲刈り → 乾燥調製 → 農産物検査 → 出荷

という形が一般的なんですが、今回は検査が間に合っていませんので、

稲刈り → 乾燥調製 → 出荷

という形になっています。

次回入荷分より、きちんとした表示で販売できると思います。中身は一緒です。

この日の古賀さんは、稲刈り、乾燥調製と一番の繁忙期。お米を引き取って支払いを済ませ、すぐに帰りました。

田主丸の苗木

田主丸は苗木の産地としても有名です。街路樹や庭木の小さいのが、たくさん植わっています。かわいいなぁと心を癒されながら、巨峰狩りに向かいます。田主丸は巨峰の名産地です。

巨峰狩り

出田緑果園さんでぶどう狩り。美味しい巨峰の見分け方を教えて頂き、収穫しました。子どもたちのすばしっこさ。お父さんは巨峰にぶつからないように、やや中腰で追いかけます。

幸せそうなブタ

ぶどう園の隣に私設の動物園があり、ブタもいました。

幸せそうなブタ

お~、よう寝とる。

幸せそうなブタ

幸せそうだな~と、ホッコリ。こんなに幸せなブタは、世界中を探してもそんなにいないだろうな~と思いました。

田主丸の古賀さんの新米(26年産) 25日より販売開始の予定です。

おまたせ致しました。田主丸の古賀さんの新米(26年産)は、今週の25日(木)からとなります。

明日23日に引き取りにいきます。24日に精米して試食してからの販売になります。

耳納連山

古賀さんの米は、福岡県久留米市田主丸の耳納連山の麓で栽培されています。耳納山からの水が豊富に流れてきて、田んぼを潤し、その後筑後川へと流れて行きます。

耳納連山の裏側は、玉露の生産地として有名な八女(やめ)になります。

2014-09-14 田主丸の空

9月14日に訪れたのですが、この日も穏やかな天気で、田主丸の緩やかな空気感を満喫できました。

田主丸は巨峰の産地として、また柿や柑橘苗木の産地としても有名です。

2014-09-14No(0152)

古賀さんの米の圃場(ほじょう)。

田主丸の古賀さん

田主丸の古賀さん夫婦です。

田主丸の古賀さんの米

稲の生育状況は良かったです。

今年は日照不足で多雨だったため、いもち病などの菌類の病気がニュースになるほどでしたが、有機肥料(油かす)のみでの生産が功を奏し、稲が元気に育っていました。古賀さん曰く、下手に肥料をあげないほうが、良い年だったそうです。

いもち病の雑草

実際、田んぼの周辺の畦道に生えた雑草は、いもち病になっていました。葉に黒い点状の斑点ができています。いもち病の病原菌は各地に蔓延してますが、この病気が田んぼの中にまで拡大するかどうかは、栽培者の技術次第です。

もちろん、殺菌のために消毒剤を振りまいてもいいのですが、古賀さんのお米は、農薬を使わずに育てる方法。収穫量は上がりませんが、稲をたくましく育てていますので、病気に強いのです。畦近くの稲穂は、少しいもち病の被害を受けた葉もありましたが、問題のないレベルでした。実際に見に行くことは必要ですね。言葉だけでは不安になるばかりです。

田主丸の古賀さんの米 2014年

というわけで、元気に育っていました。今はもう刈り取られ、乾燥して保管されているでしょう。

産地をここ数週間のあいだに何箇所か周りましたが、今年は田んぼごとの差が激しい年のようです。生産者の技術のレベルの差が容赦なく差をつけていて、素人目にもあからさまです。今年は仕入れが難しそうです。

 

お野菜の産直市のお知らせ 2014年9月

まいど!先日の連休は産地巡りでした。合計4箇所。快晴でタイミングも良くテンションがあがったせいでしょうか、フォルダを見たら撮影枚数が合計で1800枚以上。。。

画像の取捨選別に編集作業にと、地味に忙しい数日間でした。

いよいよ今週の土曜日は、毎月恒例のお野菜の産直市です。まずはそのお知らせです。

産直市 2014年9月

今月もたくさんのお野菜を入荷致します。相知町の無添加の手作り味噌も入荷します。最近人気が本格化してしまい、品切れの日が続き申し訳ありませんでした。

愛ゆうせんの日 2014年9月

商店街でも各店サービスを実施致します!手作りの和菓子、それに手作りのお漬物、こういったものがまだ手に入ります。これから益々貴重になるでしょう。長く営業を続けて頂きたいです。

当店も、米屋のなかでは少し特殊な部類ですね。がんばって営業していきます。

毎月20日のお野菜は佐賀県唐津市相知町の産直野菜ですが、この間の連休に、この相知町にも行ってきました。数銘柄のお米の取り扱いがあり、田んぼの様子を見に行きました。

あまりにも天候が良く、日照不足のニュースとは裏腹に、お米の実りもよいことから、普段は行かない蕨野(わらびの)の棚田へ行ってみました。相知町の奥のほうにあります。

現役の棚田の中では、日本一の高さの石垣のある棚田で、その外観はまるで要塞のようです。もちろん日本の棚田百選に選ばれています。

天気といい、稲穂の充実具合といい、撮影日和でした。ついつい長居して、たくさん写真を撮りました。掲載枚数が多いのでギャラリーにまとめています。お暇なときにクリックしてご覧ください。

山から流れる山水を利用して栽培されています。減農薬減化学肥料の特別栽培米です。栽培品種は佐賀県だけで栽培されている「夢しずく」。夢しずくの美味しいものは、本当に美味しく、自分の中では毎日食べたい品種ナンバーワンです。

この蕨野の棚田の夢しずくは、残念ながら当店では取り扱っておりません。唐津の産直所などで販売しているようです。稲の様子を見た感じ、なかなか良さそうでした。26年産が販売してあったら買ってみたいと思います(当店では同じ相知町の「逢地の里の米夢しずく」を販売しています。こだわり農法のもの)。

さて、もうひとつお知らせがあるのですが、福井県のご飯キャラバン(キッチンカー)が明日、福岡県北九州市のイオン戸畑店にやって来るそうです。キャラバンの目的はコシヒカリの魅力を伝えること。

福井県はコシヒカリを産んだ農業試験場があり、その後新潟で本格的に栽培が始まった経緯があります。キャラバンは47都道府県全て周るということです。米業界の激動期のまっただ中、こういう企画は意味がありますね。きっと。

というのも、スーパーや量販店の食料品の中で、米の売り場って非常に地味でわくわく感のないイメージなのですが、こういったキッチンカーで試食して周れば、そういったイメージを打破できるのでは。消費の一番の敵は「不信感」ということもありますし、試食してみたら美味しくて、購入して家で炊いたらまた美味しいという流れは、やっぱり楽しいものです。

詳しくは下記URLを参考にしてください。

http://fukui-gohan.jp/

そうそうコシヒカリの話題ついでにお知らせをもうひとつ。前々回エントリーで産地の様子を紹介した佐賀県七山産・七山コシヒカリ入荷致しました。試食をしましたが、上々です。より正確にいえば、美味しいです。ランクの高いお米の味がわかりやすく出ていましたね。販売は明日から、ネット販売も近日中には開始致します。

 

七山コシヒカリの田んぼへ行ってきました。

先日の日曜日は、佐賀県唐津市の七山まで行ってきました。
七山コシヒカリの田んぼの見学です。

七山コシヒカリの圃場

手前が田んぼで、奥には樫原湿原そばの喫茶店「湖守屋」さんがあります。ここで標高600メートルくらいです。

七山コシヒカリの圃場

今夏の北部九州は日照不足のうえの多雨でしたから、心配していました。ところがこの日から今日まで晴天続き、なんとか収穫時期に間に合ったようです。

これだけ日光を浴びれば、かなり状況が変わってくるでしょう。ギリギリセーフ?

七山コシヒカリの圃場

晴天が続いたので、葉の色ももう少し濃くなっているでしょう。しかしまあ、綺麗な田んぼです。

七山コシヒカリの圃場

天候不順な夏でしたが、生産者が石川さんでしたので、そこまで心配しておりませんでした。倒伏も見られなく、いい具合です(一部はどうもイノシシのようです)。

七山コシヒカリの圃場

七山コシヒカリは、JAとは独立して生産販売されているのですが、年々引き合いが増えているようで、石川さん曰く「田んぼが足りない」という状況です。

今年7月に発売された「ミシュランガイド福岡・佐賀 2014 特別版」でも、七山コシヒカリの取引先のお寿司屋さんが紹介されたそうです。責任重大じゃないですか。

七山コシヒカリの圃場

久々の晴天で、他の植物たちも、いきいきとしていました。ちなみにこの田圃から数十歩の樫原湿原は、「佐賀県自然環境保全地域特別地域」に指定されています。というよりも、この写真に写っている一帯が指定されています。そうじゃないと、野生植物や昆虫は保護できませんから。勝手に植物採集してはいけません。

七山コシヒカリの圃場

ここから山を降りると、日本の滝百選に選ばれた「観音の滝」があり、さらに降りると「鳴神温泉ななの湯」があります。いわゆる美肌の湯といわれる、ぬるぬるした温泉です。また、近くに道の駅があり、そのそばの川では、川遊びができます。

この日は、そこに妻と子供を置いてきましたから、そちらで合流して温泉入って帰宅しました。温泉まで福岡の福重ジャンクションから有料道路を使って1時間くらい。左折が1回、右折が1回、あとは道なりという恐ろしいくらいの好アクセス。温泉からは車で30分くらいで樫原湿原まで登れます。こちらも道なり。

帰りは妻が運転してくれたので、非常に楽でした。数年前に比べると随分と行きやすくなりました。そうそう新米は、今週稲刈り、その後検査を受けて、9月下旬ごろに入荷の予定です。

上場コシヒカリの産地で遊びました。

先週のお盆休みの最終日の日曜、上場コシヒカリの産地である佐賀県の東松浦半島の上場(うわば)台地に、家族総出で行きました。海水浴のついでに。

上場の棚田 2014年8月17日

福岡の自宅から車で1時間20分くらいで着きます。福重ジャンクションから前原までの福岡前原道路にETCが導入され、その先の二丈浜玉道路も無料化されていますので、料金所での煩わしさもなく、非常にスムーズに唐津まで行けるようになりました。

有料道路代は、往復で数百円。あとはガソリン代。渋滞もなく、遠くて近い唐津。

大浦の棚田 2014年8月17日

北波多で唐津伊万里道路を降りて、まずは日本の棚田百選のひとつ大浦の棚田へ。港の上に棚田が広がっています。

もうすでに稲刈りの終わっているところもありました。雨の続く北部九州ですが、今年の上場コシヒカリは倒伏が目立ちました(※倒伏とは稲が真っ直ぐ伸びずに倒れていることです。台風などの諸々の原因があります)。

雨が多く、稲が倒れているとなると、穂発芽などの品質の低下が心配されます。ただ、佐賀の場合は収穫後の調製仕分けがしっかりしているので、そこまで心配していません(調製や仕分けが厳しいと、上場コシヒカリとして出荷できないお米が増えますので、生産者の手取りは減ってしまいますが)。

他県でこの状態を見たとしたら、もっと深刻に受け止めています。

それと幸いながら、上場コシヒカリの産地は隣接した4地域で分かれていますので、どの地域が倒伏が多く、どの地域が問題なく育っているか半島をグルっと周れば大体分かります。問題があれば、対策が打ちやすいのです。2重の構え。

いろは島

このあと大浦の棚田の近くの海水浴場へ。奥のお城みたいな建物は、更衣室です。その前が小さなビーチ。ここは海の家がなく、訪れる人は、ほぼ小さな子供の家族連れです。のんびり。

いろは島 娘たち

今夏は雨の日が多く、海水浴を諦めてましたが、なんとか連れてくることができました。これで宿題の絵日記のネタをひとつ消化です。

いろは島 小魚

浅瀬には小魚がたくさんいました(水中カメラは、もっと上手くならないといけません。。。)。

いろは島 鯛

鯛も泳いでいました(写真右下)。もう少し大きいサワラのような魚もいましたよ。

ひとしきり海水浴を楽しんだあとは、日本の棚田百選のひとつである浜野浦の棚田へ行きました。

浜野浦の棚田 2014年8月17日

浜野浦の棚田です。今は、スマホの写真でこれだけ加工できるから、楽しいですね。

こちらも倒伏が目立っていました。コシヒカリは倒伏しやすいお米なのです。背が高いわりに茎が細く、稲穂が充実してくると、その重さに耐え切れなくなってきます。そのため、ちょっとした環境の悪化ですぐに倒れてしまいます。

日光をより多く浴びるために背を伸ばしますが、それで得た栄養は次世代の種子(お米)のほうに回しますから、茎が細く、病気にも弱いのです。その代わり上手く栽培出来た場合は、美味しいお米が収穫できます。

同じような特性の米として、酒米なら「山田錦」があるそうで、こちらも倒伏しやすく栽培の難しい品種(同じ酒米で「雄町」がさらに背が高く、人の身長まで伸びるそうです)。

コシヒカリも山田錦も日本を代表する米であり、ジャンルは違えど、どちらも長年のあいだ、日本で愛されている品種です。

今回は、倒伏した田んぼを多く見ましたが、なんというか人に例えるなら、ヤクザな亭主に嫁いだ心優しい美女を見るようでした。やっぱりコシヒカリって可憐だなぁと思った次第です。つくづく。その点も日本人好みかもしれません。

などと馬鹿なことを書いた後は、写真を数枚載せて今回のブログは終了です。

上場コシヒカリ

2014-08-17No(3416)

コシヒカリ

産地訪問 佐賀七山、白石の七夕コシヒカリ 2014年

昨日の日曜日は、大阪のお米マイスターの全国ネットワーク会議に出席。先々週の日曜日は、佐賀の産地の田んぼ巡りをしました。

今回のエントリーはそういったことを交えつつ、佐賀県の七山と白石で撮影した風景写真をアップしていきたいと思います。写真はエアリーフォトという「ゆるふわ」な感じをチャレンジ。文章の内容も前回と同じく、ふわふわした感じになりそうです。でも、意外に面白いかもしれません。

ちなみにエアリーフォトというのは、こういった空気感を大切にした写真です。

佐賀県白石 田んぼの風景01 2014年7月
【佐賀県白石の田んぼ風景01】

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【七山で川遊び】

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【七山で川遊び】

この日は、まずは七山に行って川遊び。長女が付いてきたもので。スマホの写真です。防水なので。

川の水は、相変わらず冷たく、長女は唇は紫、アゴはガクガクでしたので、途中で上がらせました。でも、楽しかったらしく、なかなか上がりませんでしたけど。。

これから有明海側の白石に向かうのですが、途中の七山の風景が綺麗でした。

佐賀県七山 2014年7月
【佐賀県七山の棚田】

棚田地帯です。当店でも七山コシヒカリを販売していますが、生産者の石川さんに先日伺った話しでは、夜温が低いらしく、確かにところどころにアジサイが咲き乱れています。

アジサイ 七山 2014年7月
【佐賀県七山のアジサイ】

日中の暑さは、川辺で充分感じましたので、やっぱり夜温が低いのかな~という印象。日中暑く、夜温が低いのは、おいしいお米の育つ条件ですが、さてこれからどういった展開を見せるか?

白石みのりちゃん 2014年7月
【しろいしみのりちゃん】

白石町に到着、産直所で白石町のゆるキャラ「しろいしみのりちゃん」と記念撮影。特産品のコスチュームを身にまとっています。とくに玉ねぎ、レンコンで有名です。お米では近日発売予定の“七夕コシヒカリ”が全国でも有名です。

佐賀白石の田んぼ風景03 2014年7月
【七夕コシヒカリ圃場】

七夕コシヒカリ、順調に生育していました。白石平野は、江戸時代以前から干潟を干拓した土地で、土中に多くのミネラルを含んでいます。8月の極早期の新米の中では、毎年一番の評価を得ています。

佐賀白石レンコン畑 2014年7月
【佐賀白石 レンコン畑】

今年はレンコン畑が多く、目立ちました。土が柔らかく滋養に富んでいるため、美味しいレンコンができます。

佐賀白石 玉ねぎ畑 2014年7月
【佐賀白石 玉ねぎ畑】

玉ねぎは一番有名でしょうか。全国屈指の産地であり良食味。理由は、米、レンコンと同じです。

佐賀白石の田んぼ風景02 2014年7月
【佐賀白石 田んぼの風景】

玉ねぎの収穫のあとに、田んぼにして稲を植えます。たぶん、“ヒノヒカリ”か、“さがびより”あたりだと思います。

七夕コシヒカリ 圃場 2014年7月
【七夕コシヒカリ 2014年】

話しは、突然変わりますが、最近ラジオ番組の「テレホン人生相談」にハマってしまいまして、今現在2ヶ月で360本くらいをYouTubeで聴きました。

ものすごくハードな環境にいる相談者もいまして、例えば両親がひどくて家庭が崩壊していて、ずっと引きこもりを続けた人の相談なんかも。

親はいるが、無関心または過干渉=子供の心を決して理解しようとしない無視の状態からどうやって立ち上がっていけばいいのか?といった相談です。

そういった非常に孤独な状態に置かれた人へのアドバイスとして、ときどき出てくるのが、とにかく外に出て、風の心地よさや優しさ、植物の輝きや風景を見て、母性や父性を感じること。自分は世界とつながっているのだという認識を持つことが大事だというアドバイス。

ひとつの大きな木を自分の母親だと決めて、毎日会いに行くこと。そういったことで少しずつ活力や元気を取り戻していかなければならないそうです。そこからどうしようもない孤独と離れていくことができるそうです。

逆に親の立場として、元気や活力を失った反抗的な我が子にどう対処すればいいのか?といった相談もあります。そういったときのアドバイスのひとつとして、その子の部屋の前や、ベッドの隅に、そっと小さな“白い塩おむすび”を置いておくことだそうです。そして、食べても食べなくても、そっと何も言わずに引っ込める。

おむすびに海苔などがついていてはダメで、とにかく白おむすび。なぜなら、小さいころのおっぱいの感触や味に一番近いからだそうです。カステラなんかもいいそうです。母性を感じることが大事だということです(もちろん対処方法はこれだけでなく、親のこれまでの生き方や考え方を改めないといけないとアドバイスされます)。

そういえば、おむすびはふんわり握ることがコツだなぁ、と米屋の自分は思うのです。そして、「棚田は日本の原風景」と良くいわれますが、単純に歴史的なことだけではないのでは?と思うようになりました。単純な歴史の話しではなく、もっと個人個人の精神に結びついているような気がします。

棚田の風景があるところに住んだことがない人、故郷がない人でも「棚田の風景は、日本の原風景」という人がたくさんいて、以前は不思議に思っていたのですが、今はそういった、ひねくれた疑問も解消しました。

確かに、自分のような商店街育ちの下町っ子でさえ、山々の緑に囲まれた棚田に実る黄金色の稲穂が、風にそよぐとき、なんとも心地よい気持ちになりますが、あれは実は子供の頃に感じていたであろう、柔らかさや安心感、安らぎ、そしてある種の高揚感に共通しているのかもしれません。

今、読んでいる途中の「牛乳とタマゴの科学 (酒井仙吉著・ブルーバックス)」という本には、1万1000年から1万2000年前に氷河期が終わったとき、いままで氷や雪に覆われた地域に植物ができ始め、比較的温暖なところに住んでいた人がいた場所から、草食動物が逃げていったことが書かれていました。今まで温暖なところに集まっていた動物たちが、サーッといなくなっていったということです。人類、暖かくなって皮肉にも食糧難。

その後しばらくして、小麦の栽培と羊の牧畜が始まったことが書かれていて、穀物が人類の主食となっていきます。逃げずに実りを授けてくれる穀物や他の果実、植物たちの安心感というのは、人類のDNAに共通してインプットされているのかもしれません。そして人類は、けっこう植物に対してはワガママに振る舞いますし、それでいて執着も強く、いよいよ母性との強い結びつきを感じるのです。

そういったことを最近、考えていたのですが、昨日のお米マイスターの研修会で拝聴した管理栄養士の柏原ゆきよ先生の講演でも、ごはん食中心の食生活による体質改善(+減量)をアドバイスした、ある運動選手からの電話で「自分は性格も変わりました!ありがとうございます!」ということを言われた話しを聞きました。

確かにビフォーアフターの写真も、体格と同じように顔つきが違います。以前の私であれば、「ふ~ん、そうなの」という感じに聞き流したと思いますが、今回は、もうその言葉が引っかかって引っかかって、聞き流せませんでした。

なにか多分、あるんだろうと思います。ご飯には。

ふくどみマイランド公園
【ふくどみマイランド公園】

佐賀白石での撮影が終わったあとは、少し公園で長女を遊ばせてから帰りました。少しはいい時間を過ごさせてあげれたかな?

七夕コシヒカリ 2014年7月
【七夕コシヒカリ 2014】

この写真は、いつもブログをご覧くださるお米屋さんたちへのサービスショットです。エアリーフォトでは、たぶん実際の出来栄えがわからないので、イライラしていたのでは。いつもより一週間早く訪れましたので、まだ綺麗に色づいていませんが。

しかしまあ、コシヒカリは倒伏しやすいお米で、そこが一番の難点ですが、スッとした立ち姿は、やはり綺麗です。台風が来なくて良かったです。

七夕コシヒカリは、8月7日に販売の予定となっております。大切に販売致します。

産地視察会 ~JA佐賀松浦カントリーエレベーター編~

昨年の9月に開催された佐賀の田んぼの視察会の続きを書いてなかったので、今回はその続きです。続きを書くまでに10ヶ月くらいかかってしまいました。。。

今回は、逢地の里の米シリーズ(逢地ヒノヒカリ・逢地夢しずく・逢地さがびより)を生産している佐賀県相知町にあるJA佐賀松浦カントリーエレベーター(以下、佐賀松浦CE)の様子をお伝えします。

“天使の詩プレミアム”を生産している城田西カントリーエレベーター(以下、城田西CE)を午前中に視察して、午後からはこちらの佐賀松浦CEを視察という行程でした。

カントリエレベーターの説明は、前回のエントリーに詳しく記載しておりますので、そちらをご参照ください。せっかちな方のために、ざっくりかいつまんで説明すると、カントリーエレベーターは、収穫したばかりの籾の状態のお米を、乾燥させて籾摺りして貯蔵する共同施設です(※籾摺りすることで外側の籾殻が抜けて、玄米の状態になります)。

全国にはたくさんのタイプのカントリーエレベーターがありますが、佐賀のカントリーエレベーターの充実ぶりは米業界では有名。非常に仕上がりの良い玄米が多く、佐賀米の高品質さの原因になっています。

佐賀県全体のカントリエレベーターの数は30基。小型のライスセンターが103基。この数はかなりのもので、普及率で見ると全国平均が29.3%であるのに対し、佐賀県の場合は82.5%です。

カントリーエレベーターの弱点は、“共同乾燥調製施設”ですので米が混ざってしまうこと。米名人のお米も、週末農業の方のお米も全部混ざってしまい均一になってしまいます。

そういった弱点をカバーするために、前述の城田西CEの場合は、篤農家や米名人のお米だけを集めるという枠を作って、良食味ながら栽培の難しい品種を育て、さらに選別作業を加えることで“天使の詩プレミアム”というブランド米を誕生させています。

そういったブランド化への工夫をさらに推し進めるために作られたのが、今回の佐賀松浦CE。「推し進める」と書きましたが、「エスカレートさせた」と書いたほうが正確かもしれない、その設備の充実ぶりをお伝え致します。

JA佐賀松浦カントリーエレベーター
【JA佐賀松浦カントリーエレベーター】

右側半分が写真からはみ出していますが、佐賀松浦CEの写真です。総工費9億4700万円。日本の滝百選にも選ばれた“見返りの滝”から車で10分弱くらいの距離にあります。

佐賀松浦カントリー内部
【佐賀松浦CE内部、入口付近】

田んぼから収穫した稲は、まず乾燥させなければなりません。昔であれば、田んぼで「はざかけ(天日干し)」を行っていましたが、現在は乾燥機が主流。こだわりの産地であれば、お米の内側からじんわり乾燥させるために、遠赤外線を利用した乾燥機を使用しているところも多くあります。

こちらのカントリーはさらに一歩進んで、常温定湿乾燥という自然乾燥方式(ヤンマーの特許技術DAG)で乾燥を行っています。厳密に制御されたエアコン、と説明すると分かりやすいでしょうか。湿度と温度が整えられ制御された風で米の水分を調節していく方式です。ゆっくりじんわりと乾燥させていきます。

“乾燥貯蔵角型ビン”という荷受・乾燥・貯蔵の3役をこなす50t容量のビンが36基。このビンの中で収穫した籾を撹拌させながら乾燥させていきます。乾燥が終われば、厳密な温湿度管理のもと、そのまま貯蔵という形です。このビンは36基ありますので、36種類のお米を区分して保管できるわけです。

さらに貯蔵用の100tビンが9基ありますので、このカントリーエレベーターでは最大で45種類のお米を最適の状態で貯蔵できます。そういった45の貯蔵ビンの中に、佐賀米ブランドの代表格である“逢地ヒノヒカリ”“逢地さがびより”“逢地夢しずく”などが選別され保管されているといった状況です。

責任者の方に伺ったお話では、それでもビンが足りなくなってきているような状況だとか。

佐賀松浦カントリー 設備内2

写真奥の壁の向こうに、50tビンやら100tビンがあります。もちろん断熱材等の壁で囲われていますので、こちらからは見えません。

しかし、どんなに良い設備でも、メンテナンスが行き届いていなければ、その性能を発揮しません。ですから、こういった視察会のときは、床の掃除の状態や機械内部のメンテナンスの状態を、できる限りチェックしていきます。写真からも分かりますが、手入れが行き届いていました。

佐賀松浦カントリー 色彩選別機
【色彩選別機】

写真は、玄米の色彩選別機です。綺麗な玄米と不良玄米(その他石などの異物やガラス片まで)をセンサーで識別して、瞬時に分けていく機械です。非常に高価。

スーパーなどの棚に並んでいる玄米が、普通の白米よりも高値で売られていることがありますが、それは玄米用にこういった専用の機械を通していることも原因のひとつ。異物やガラス片が入っていたら危険ですし、玄米の見た目が悪いと売れませんから。

佐賀のカントリーエレベーター経由の玄米は、色彩選別機に予めかけてあるため、米屋としてもありがたいのです。精度も抜群。こういった状態の玄米なら、異物などで精米機が傷む心配がありませんし、不良玄米が取り除かれていますので、食味も信頼できます。

佐賀松浦カントリー 内部3
【未熟粒出荷設備】

色彩選別機で不良玄米が分けられていますから、写真にある未熟粒(未熟粒の説明はこちら→)専用の出荷設備もありました。飼料など使用目的によっては充分使えます。お米は余すところがない穀物です。

佐賀松浦CEでは、籾の状態のまま貯蔵しているため、出荷が決まってから籾摺りと調製を行っていきます。そのため、お米の食味が落ちがちな今の時期でも、全く問題ないのです。そういった意味でも佐賀米の安心感、高品質さがあります。

佐賀松浦CEの前の圃場

カントリーエレベーターの前では、米ぬかを肥料にした循環型栽培の試験栽培をしている田んぼがありましたので、そちらも見学。

将来的に全国で販売できるような体制が整えば、今回の視察会に集まった関東や関西、各地方の米穀店が販売していくことになると思います。そうやってトレンドができていきます。

相知圃場

左側の田んぼと右側の田んぼで、稲穂の色が違うことが分かりますか?左側が現在の栽培方法のもの。右側が循環型栽培のものです。同じ品種のお米で比較しやすいように、隣の区画同士で栽培されていました。

こういった将来への布石を打っているところも心憎い。佐賀県相知町のお米には、これらかもお世話になりそうです。

産地視察会・番外編 ~乾燥と調製~

やっと9月初旬に行った産地視察会の続きです。もう10月ですけども。。。

今回は番外編として、米の乾燥と調製について説明したいと思います。カントリーエレベーターの視察の説明としては、欠かせないものですので、基礎知識として。

今回も長いですが、かなりお米のことに詳しくなるはずです。米屋をする前の、昔の自分に言い聞かせるような感じで、分かりやすく説明していきたいと思います。

稲穂の先
【稲穂の写真】

まずは基礎の基礎。上の写真のつぶつぶがお米です。まだ硬い殻に覆われていて、籾(もみ)といわれる状態で茎にくっついています。この茎にくっついている状態の籾を取り分ける作業を“脱穀”といいます。

玄米と籾殻
【脱穀後、籾摺りした米。左が玄米、右が籾殻(もみがら)】

籾の中には玄米があります。籾殻とは、玄米を覆っていた硬い殻のこと。玄米と籾殻に分ける作業を“籾摺り(もみすり)”といいます。

その後、玄米の表面を削っていくと白米になります。いわゆる精米です(ちなみに玄米の茶色の層は、糠層(ぬかそう)といいます。糠層の粉状のものが、通常見る糠(ぬか)です。ぬか漬けのぬか床にしたり、肥料にしたりします。米油もとれます)。

稲刈り

脱穀(稲穂から籾と茎葉を分ける作業)

乾燥
もみすり(籾を玄米と籾殻に分ける作業)
調製

精米(玄米を白米と糠に分ける作業)

おおまかにいうと、こういった工程で、スーパーや小売店で目にする白米が出来上がります。

乾燥、もみすり、調製は、一緒に書きましたが、それは農協のカントリーエレベーターやライスセンターで行うことが多いからです。個人でやると手間と設備費用が非常にかかる工程ゆえ。

コンバインで稲刈り
【稲刈り風景 籾をトラックへ積み替え中】

コンバインの後ろ姿
【コンバインの後ろ姿】

写真はコンバインを使っての稲刈り風景ですが、コンバインのいいところは、刈り取ったあとの稲穂から、茎と葉を取り除き籾だけを取り出すこと(脱穀)が、稲刈りと同時にできること。コンバインの後ろからは、茎や葉の部分が捨てられ、籾はコンバイン内に溜まっていきます。

捨てられた茎や葉は肥料となり、溜め込んだ籾はトラックに積み替えるなどして、乾燥機まで運びます。

乾燥機などなどの設備
【右側奥のものが乾燥機。4台あります。全て遠赤外線】

乾燥は、一般的には農協のカントリーエレベーター(大規模)やライスセンター(小規模)に設置された乾燥機を使います。もちろん、個人や営農集団で独自に持っている方もおられます(写真の設備は、あるブランド米の営農集団のライスセンター。掃除が行き届いていますね!)。

乾燥機の無い時代は、いわゆる“掛け干し(かけぼし)”“稲架掛け(はざかけ)”というやり方をやっていました。いわゆる自然乾燥。昔ながらのこういった乾燥方法は食味が向上するため、今でもこだわりのお米の産地などは、続けているところがあります。その場合は、乾燥させたあとに脱穀機を使って脱穀という手順です。干すのも大変ですし、脱穀の作業も大変です。

自然乾燥と乾燥機を使うのと、どちらが良いのか?と、ときどき話題になります。もちろん、自然乾燥のほうが良いのですが、その二つよりも優先しないといけないことがあります。

それは、稲を刈り取ったあとは、なるべく早く乾燥作業に移ること。そして、ムラなく乾かすこと。洗濯物と一緒です。ちゃんと乾かすことできなければ、天日も乾燥機もヘチマもありません。

洗濯したあとの衣類を、洗濯機の中に入れっぱなしにすると、臭いがでます。雑菌の繁殖が原因ですが、米の場合も同じで、刈り取ったままの状態で放置すると、次第に発酵が進み発熱し、最後には腐ります。

ですから、例えば7月末~8月頭には稲刈りが始まる極早場ブランド米の“七夕コシヒカリ”は、夏の暑い時期ということもあり、稲刈り後2時間以内には、乾燥機に入れることが決まっています。これはなかなか厳しい基準です。特に乾燥機のある場所から離れた圃場の稲刈りの場合はシビアでしょう。

ブランド米は、そういったこともあるがゆえのブランド米といったところです。栽培方法や自然環境も大切ですが、こういった点も見逃せないポイント。今では乾燥機も自然乾燥に近いものがあり、そういった点もこだわりの一つになっています(ですが、こういった点はなかなかお客さまにスムーズに伝わらないのが現状です。その点は、販売店としての反省点のひとつ)。

雑菌が繁殖しないうちに乾燥させることと、玄米の水分をムラなく一定に保つことは、一年間を通しての品質維持や食味には大切なことであり、美味しく頂くための前提条件です。

そういったこともあり、稲刈り時期に台風が来ると、非常にヤキモキします。台風で稲が倒れやしないか?台風は逸れたけど、長雨が続いて稲刈りができないみたい、刈り遅れになるかも?今日は晴れたみたいだけど、連日の雨で稲刈りする人がこの日に集中するし、米も多少濡れてるしで、乾燥機がフル稼働しても間に合わない可能性が?故障などないように!と少々ハラハラします(生産者の方々には及びませんが、米屋の場合、それが長い期間続きます。全国各地の米を取り扱うため)。

雨が続くとヤキモキするところは洗濯物とよく似ていますが、同じでないのは、一年に一回の作業であるため時期が集中しているうえに、失敗が許されないことでしょうか。しかも、ゆっくり乾燥させないと米粒が割れたりするなどの品質の低下がありますから、機械乾燥といえど、時間がかかります。

そんなこんなで乾燥が無事済めば、あとは籾摺りして玄米を取り出し、その玄米を篩(ふるい)にかけ選別したり、混入した異物を取り除く作業となります。

刈り取ったばかりの籾
【刈り取って脱穀したばかりの籾】

写真は、乾燥前の籾の状態です。乾燥させたあと、籾殻を取り除き玄米の状態にして、篩(ふるい)にかけて米の太さを一定基準以上のものに揃えたり、混入した様々な異物を取り除いていきます。いわゆる調製作業です。

異物というのは、稲の茎や葉の一部であったり(写真でも確認できますね)、ヒエなどの他の植物の実であったり、または小石であったりとさまざま。田んぼの近くで交通事故があれば、ガラス片などが混入する可能性もありますので、そういったものを取り除く工程もあります。さまざまな工程を重ねたうえで、米穀店が仕入れる玄米ができあがります。

乾燥、籾摺り、調製と全て機械化されてますが、それゆえに設備費用は膨大。また機械が増えるごとにメンテナンス作業も増えます。また、そういった設備を使いこなす技術も必要。機材を全部揃えているところばかりでもありません。

米屋をしていると、入荷した玄米を見るだけで、ぼんやりとですが産地の実情や実力を察することができます。全国に知られた有名産地といえど、ひどいものはありますし、逆もしかり。

もちろん、直接産地の圃場や調整施設を見学するのが一番ですし、安心できます。設備が整っていて、なおかつ掃除やメンテナンスなどの人の手間がかかる部分もおろそかにしていないところの米は、やはりいいです。安心してお客さまにオススメできます(注:逆に設備が多少整ってなくても、玄米の状態が良ければOKです。なぜなら、設備がなくても工夫次第で品質を高めていることが伺いしれますから。そういった産地は別の意味で安心感があります)。

佐賀のカントリーエレベーター経由の玄米は非常に状態が良く、設備も整っており、その点では全国でも定評があります。実際、何年も安心して販売できています。こういった玄米は実はかなり珍しいのです。

次回、産地視察の最後の回を書く予定ですが、その佐賀のカントリーエレベーターの中でも白眉の存在である“佐賀松浦カントリー”が舞台となります。お楽しみに!

注 : 以前、お客さまから見せて頂いた雑誌に倹約特集が載っていて、「産地直送のお米を買えばこんなにお得!」と“籾袋”の写真が掲載されていました。ガックリ。運が悪ければ、上の写真の状態のものを乾燥させただけ、といった品を購入する恐れもあります。ちゃんと籾か玄米かを確認することは最低限必要ですし、なんにせよ信頼出来るところから購入することが、やはりベストです。