米の食味ランキングの話題 25年産

今月中旬に、日本穀物検定協会(以下 穀検)の“米の食味ランキング”の発表がありました。テレビや新聞等の報道でご存じの方も多いと思います。

25年産は、全国で38銘柄が選ばれ、過去最多とのこと。とても嬉しいニュースでした。これはもう各産地の努力の賜物です。当店としては、「佐賀県産・コシヒカリ」の初の特Aが一番の話題でしょうか。

このランキングは、穀検の審査員20人が実際に食べ比べて判断しています。試食として使われるお米は、県の奨励品種で作付け面積が一定以上あることが条件です。流通していないお米だと、ランキング付けしても意味がないため、一般に手に入りにくいお米は除外されます。

※ 詳しい検査内容はこちらをご参考に→

日本一のお米を決めるコンテストの場合は、“○○県の○○さんの育てた○○ヒカリ”という個人的に育てたものが通用しますし、だからこそのプレミアが付くのですが、穀検の米の食味ランキングは、“○○県産○○ヒカリ”という区分が基本です。

どちらかというと、全国規模でその年のお米の良し悪しを調査し比較する意味合いが強く、同一品種の出来不出来を各県で比較できます。たとえば、「25年産の兵庫産コシヒカリは、特A評価だったけど、鳥取産コシヒカリはAのまま」といったようにです。

また、“さがびより”や“ゆめぴりか”のような新品種の実力を知ることができます。「ああ、あの県のあの品種も、とても美味しいものができるんだ。今年で3回連続か」という感じです。新品種の潜在能力、種子の持つ実力が分かります。

生産量の多い県、たとえば新潟県の場合は、同じ県内でも上越・中越・下越・魚沼・岩船・佐渡と区分されており、一段厳しい検査ともいえます。新潟コシヒカリだけでも、それぞれ上記各地域のものが試験対象になり、「新潟県中越のコシヒカリは良かったけど、下越はまだまだ」という判定のされ方をします。

ちなみにお米のキングブランド、魚沼コシヒカリは、このランキングが始まってから25年連続で特Aです。佐渡コシヒカリなども、長らく特Aを取り続けている銘柄ですね。

全国的に注目度が高く、生産量の多い東北の各県も、県内で地域分けされる傾向です。

北海道も新潟県並に生産量は多いのですが、まだ地域によって区分されていません。ですから、この点を問題視する意見も聞きます。ただ、北海道のお米の高評価は、ここ数年の出来事ということや、食味試験はすでに非常にたくさんの銘柄(25年産で131銘柄)で行われていることから、対応は難しいかもしれませんし、時間がかかるかもしれません。

25年産は冒頭で述べたとおり、38銘柄が特A評価を受け、過去最多となっており、全国津々浦々で美味しいお米を食べることが容易になっています!と、書きたいところなのですが、ここ数年あることが問題になっているようです。特A評価の米ということで、実際に購入して食べると期待を大きく下回ってしまってクレームが発生したという問題です。過去に旋風を巻き起こした銘柄が、いまでは廉価販売になってしまっているものもあるようです。

さてここで、とても重要なことを申し上げるのですが、この食味試験に使われるお米は、各県各地域の代表です。ですから、かなり高品質なもの、育ちの良かったお米が選ばれます。スポーツ選手でいえば、国体レベルと思ってください。

ちなみに佐賀県の場合は、“さがびより”と“コシヒカリ”が今回特Aですが、食味試験で使われたお米が育った環境はというと・・・

さがびよりの産地

コシヒカリの産地

こういった様子です。山に囲まれ、水も綺麗。コーチともいえる生産者も研究熱心。

かといって、サンプル対象にならなかった地域も環境の良い所は良く、美味しいお米がとれます。

佐賀の田舎

それではなぜ、上記のようなクレームが発生しやすくなっているかというと、全国規模では、米の品質が下がっているからです。夏の暑さに代表される気候変動や、生産者の高齢化や過疎の問題、栽培の省力化が進んでいる現状があります。TPPの問題もあり、農業全体が先行きの見えない状態でもあり、これで全体の品質があがるわけがない、といった状況です。

しかし、同じような理由から、生き残りをかけた産地の努力が片方であります。各県の一部の各地域で高品質高食味のお米が栽培され新品種の採用にも貪欲。これがおそらく今回の過去最多の特A評価銘柄続出の原因だと思われます。これは努力の賜物。今回、特Aが過去最多だったことを私が嬉しく思ったのは、そういった努力や研鑽がきちんと数字として表れたことです。

ということで、クレーム問題と特A評価の銘柄が過去最多であることは、2極化が進んでいる今の現状をきちんと反映しているように思えます。当然といえば当然。しかし、販売業者としては厄介な問題といえますし、粗悪な品質のものは消費者に対する優良誤認になるかもしれません。

ただ、こういったことが、米の食味ランキングの表示方法だけに原因があるかというと、そうじゃないと思います。より正確な言い方をすれば、『○○産○〇ヒカリ』という販売方法が実態にそぐわなくなってきているということでしょう。そして、これからますます2極化が進むはずですから、より実態にそぐわなくなるように予想されます。

ここで、少し話題がそれますが、下の表をご覧ください。

【お米がご飯になるまでの経路】お米がゴハンになるまで01

上の表は、お米がご飯になるまでの経路をざっくりと書いてます。上段の生産栽培・乾燥調製・保管流通・精米・炊飯は、お米の品質や食味を左右する重大な5要素です。A・B・C・Dは、それぞれの環境や作業のレベルが高いか低いかです。

【米の食味ランキングのサンプルの経路】お米がゴハンになるまで02

上の表の赤字になっているところは、その段階ごとに行われた作業レベルです。赤い矢印は、お米の実際の食味や品質を表します。米の食味ランキングにサンプルとして使われるお米の経路は、県の代表ですから全てAを通過しているものが主でしょう。

【精米がうまくいかなかったときの経路】お米がゴハンになるまで03

精米を失敗したお米の経路です。一度、Bに落ちると、炊飯時の技術がAでも、米の美味しさはBのままです。専門店で気をつけるべき経路。精米によってかなり味も食感も変わります。

【販売されているお米で、途中で問題が合った場合の経路】お米がゴハンになるまで04

これは保管流通の間に問題があったときの経路です。のちの精米や炊飯の技術がAでも、Cランクに落ちたお米の美味しさは戻りません。基本的に。

この表で注目して頂きたいのは、実は一番左端の“生産栽培”の項目なのですが、○○産○○ヒカリという表示は、この生産栽培の項目のごく一部しか表してないのです。しかもAランクからDランクのものまで全て含みます。そして、その後の経路も雑多なのです。

ですから、美味しいお米を購入するには、昔から言われているように、「信用の出来る店や会社のものを」ということが何よりの近道になります。スーパーや量販店でもいいです。購入したお米が美味しかったら、銘柄名だけでなく、袋に記載してある販売業者の名前を憶えることが一番の対策だと思います。

煩瑣(はんさ)かもしれませんが、このことは、食品全般にいえます。

今回、佐賀県産コシヒカリが初めての特Aでした。九州のコシヒカリでも久しぶりか、ひょっとしたら初めてかもしれません。これは、昨今の猛暑酷暑のひどかった暖かい地方でも全国トップレベルのコシヒカリを栽培できるノウハウが、佐賀県内にあることを意味しています。そういったノウハウは、今後同じような環境の産地で活かすことができるはず。佐賀米全体の高品質化の材料になるはずです。

県全体の生産栽培の段階で、高品質のものが増えれば、そのぶん美味しいお米が増えます。初めからDランクのものを作らない、Cランクのものは減らす、2極化の進行を止めることで、県全体のブランド化がより進むと思われます。

そして、佐賀県はすでにそのように動いているそうです。そういった時期に、今回のコシヒカリの特A評価は、非常に弾みになりますし、個人的には一番嬉しいニュースでした。

米の食味ランキングは、いろいろと全体の状況が分かりますので、やはり注目してしまいます。

最後に、当店で25年産特A評価のお米は、魚沼コシヒカリ2銘柄(北魚沼コシヒカリSA、十日町特別栽培米魚沼コシヒカリ)、佐渡コシヒカリ(朱鷺と暮らす郷)、ゆめぴりか、さがびより2銘柄(さがびより、逢地さがびより)、佐賀県産コシヒカリ3銘柄(上場コシ、七山コシ、天川コシ)、ななつぼしの10銘柄です(通販は現在のところ8銘柄)。それぞれ自信を持って販売しております。よろしくお願い致します。

 

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