塩と米とマグネシウム

今日の福岡はいきなり寒くてビックリしました。

8月の暑い日でさえ涼しい風が吹いていましたので(それとPM2.5も少し降りてきていました)高気圧が今年も弱いのかな?と、秋の早い予感はしていましたが、いきなり涼やかな温度。明日以降はどうなんでしょうね。田んぼの具合が心配です。

そんな涼やかな福岡でしたが、今日はお店でマグネシウムの話しをする機会がありましたので、その話しをブログにも書いておきます。

お米の他にもさまざまな食品を販売している弊店ですが、“塩”も少量ながら販売しています。普通の食塩から「伯方の塩」のような天日塩ブレンド、釜で海水を煮たタイプなどなど。以前は藻塩や雪塩なども販売していました。

塩の見極め方は、成分表の表示などで以前よりは随分と分かりやすくなりましたが、それでも色々な記載のものがあり、弊店スタッフも何を仕入れていいのか混乱気味の様子でした。

まあ基本は、食味をしてみて好きなものを入荷すればいいのですが、簡単な見分け方としては「べたつく塩は海水に近い」という方法です。塩の中にマグネシウムがたくさん含まれていると、空気中の水分を吸ってしまい、塩がべたつくのです。

マグネシウムのような代表的なミネラルを多く含んでいる塩は、他のミネラルも多く含んでいる傾向があります(水の硬度もマグネシウムとカルシウムの含有量で決まります)。岩塩や天日塩のような結晶タイプは、結晶だけに不純物が少なく、その不純物のなかに当然他のミネラルも含まれますから、意外とミネラル量は少ないのです。逆に純度の低い結晶の場合はどうかというと、食用にはあまり使われません。文字通りの不純物が多いからです。

となると、べたつく塩が良い塩かといえば、簡単にそう言えるのか疑問で、すぐに吸湿してしまう塩だと、実際使用したときの“さじ加減”が難しくなります。そのため保管も注意が必要です。まず卓上塩には向きません。

さて、この海水の中にたくさんあるマグネシウムですが、じつは植物の光合成に非常に関連が深いミネラルなのです。いや、関連が深いというよりも光合成の中心といえるかもしれません。

地球で最初に光合成を行い炭水化物を作り出した原始植物(もちろん海中生物です)のクロロフィル(葉緑素)の中心にはマグネシウムがあり、その構造は現在存在している多くの植物にしても原型はほぼ同じなのです。

まさにマグネシウムなくして光合成なし。光合成なくして炭水化物なし。炭水化物なくして草食動物なし。草食動物なくして肉食動物なし。といった非常に重要なミネラルなのです。

そういったミネラルですので、にがり(塩化マグネシウム)を田んぼに散布する農法もあります。「隠岐の藻塩米」であったり、高知の「土佐天空の郷」といった銘柄が有名です。同業者の評価も良いようです。

栽培技術が高レベルのブランド米の場合、他の養分が充実し、栽培方法が最良であっても、マグネシウムが欠乏していては良い稲はできず、活発な光合成は期待できないかもしれません(マグネシウム散布の理由は他にもありますが)。

予想外の今日の涼しさに「やっぱり稲が健康で丈夫じゃないと、この天候不順に負けちゃうよな・・・」と、これからどの新米を仕入れるか思案中です。去年と同じく、あまり考えずに習慣どおりに栽培したお米にとっては、厳しい年になりそうです。米屋としても吟味していかなければ。

土佐天空の郷

写真は2011年に訪れた土佐天空の郷の圃場です。

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